地代滞納の対応策  ~司法書士法人 クローバー総合事務所 細越善斉~

 こんにちは、クローバー総合事務所の司法書士の細越です。お客様にとって最良のソリューションを提供するために、日本橋鑑定様にはいつもご協力いただいております。
 さて、ここでは、地代の未払いがあった場合に、地主様がとるべき対応についてお話させていただきます。


      対応1: 地代が消える?        

      対応2: まずは連絡から       

      対応3: 書面による督促       

      対応4: 
法的措置          

      対応5: 
債務名義の取得方法     

      対応6: 
具体的な手続選択       

      対応7: 
債務名義を取得したら    

      対応8: 
立ち退いてもらうべき場合も   

 

地代が消える?

 当然のことですが、「地代(=賃料)」は借地契約(土地の賃貸借契約)に基づいて発生しています。
とすると、契約関係がある以上は、いつでも滞納分を請求できそうですね。
しかし、契約関係が続いており、なおかつ借主が地代を滞納しているにもかかわらず、これを請求できなくなってしまうケースがあります。
 それが「消滅時効」という制度です。民法は、地代等について「五年間行使しないときは、消滅する」(169条)と定めていますので、未払いの地代を放っておくと、請求できなくなる可能性があるのです。
ですから、地代の滞納には早めの対応が肝要です。

まずは連絡から

 専門家の対応策としては意外に思われるかもしれませんが、債権回収の基本は、まず債務者(借主)とこまめに連絡をとることです。
 裁判所を使った強制的な回収方法ももちろんありますが、借主が自発的に支払ってくれるなら、それが最も効率的でコストがかからないからです。ですので、まずは借主に連絡をしてみましょう。
 なお、後日の法的措置に備えて、借主の経済状況や具体的な財産(取引銀行や勤務先)などについても、話の中でさりげなく情報を収集しておくのが効果的であり、確実な債権回収のためのテクニックと言えます。

書面による督促

 何度交渉しても支払いがない、連絡自体がなかなかつかない、という場合には、法的な回収手段を検討します。
 このような場合、一般的にはまず「督促状」のような形で、文書による請求を試みます。その際には、普通郵便ではなく、配達証明付の内容証明郵便を利用するのがよいでしょう。
 ちなみに、「配達証明」や「内容証明郵便」自体には、特別な法的効果があるわけではありません。郵便局が「配達したこと」や「書面の内容」を証明してくれることで、後日の確かな証拠になるという意味合いがあるのです。
 ただし、内容証明は「今後は法的措置をとりますよ」という強い意思表明ですから、借主に与えるインパクトは大きく、効果的です。

法的措置

 連絡をとっても、内容証明を送っても、やはり支払ってくれない借主も多いでしょう。そのような場合は、いよいよ裁判所を通した法的措置に移行します。
 ここで当然思い浮かぶのは「裁判」ですが、裁判で負けても支払いをしないツワモノは世の中に大勢います。では、どうして裁判をするのでしょうか?
 裁判で勝てば「判決」がもらえます。そして、支払いをしない人間の財産に強制執行(いわゆる差押え)をするためには債務名義という文書が必要であり、「判決」はその「債務名義」の一つなのです。
 つまり、裁判所(国)の力で借主の財産を強制的に取り上げる前提として、裁判で勝つ(債務名義を取得する)ことが必要だということになります。
 そして、法的措置とは、主にこの「債務名義」取得のための裁判や、強制執行の手続のことを指します(「債務名義」がなくても可能な「仮処分」「仮差押」という手続もありますが、それはひとまずおいておきます)。

債務名義の取得方法

 上記の「債務名義」にも幾つかの種類がありますが、最も想像しやすいのはやはり「判決」でしょう。既にお話ししたとおり、「判決」は「通常訴訟」(普通の裁判)で取得することができます。
 もう少し簡単に判決を取得できる「少額訴訟」という手続もあります。これは、「通常訴訟」の簡易版で、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に、1回の日程で決着をつける裁判です。
 さらに簡単に債務名義を取得できる手続としては、「支払督促」という制度があります。これは、裁判所が発送する督促状のようなものですが、判決と同じ効果があります。つまり、支払督促も債務名義の一種です。
 他には、公証役場で作成してもらう「公正証書」なども、判決と同じ債務名義になります。

具体的な手続選択

 手続が簡単なのであれば、「支払督促」や「少額訴訟」をすればいいのでは?と当然考えるわけですが、ことはそれほど単純ではありません。
 実は、「支払督促」や「少額訴訟」には「異議申し立て」という制度があり、債務者(借主)が『こちらにも言い分があるので、そんな簡単な手続では困ります』という申立てをすれば、自動的に「通常訴訟」へ移行してしまいます。
 つまり、支払督促・少額訴訟→異議申し立て→通常訴訟という流れになるよりは、最初から通常訴訟を提起した方が費用も時間もかからない、という場合もあるのです。
 また、どの手続であっても、「債務名義」を取得することだけが最終的な解決方法ではない、ということに注意が必要です。
 上記の手続では、裁判所から借主へ書面が送達されます。一般の方々にとっては、『裁判所から書類が届いた』ということだけでも相当な驚きですから、上記のような手続をきっかけに、和解(示談)の話が進むことも非常に多いのです。

債務名義を取得したら

 「債務名義」があれば、「強制執行」ができます。つまり、借主の財産を強制的に取り上げることができるのです。
 しかし、たとえ「債務名義」があったとしても、借主の財産の在処が分からなければどうしようもありません。
 裁判所が借主の財産を探してくれるわけではありませんから、その意味でも、最初にお話ししたように、常日頃から借主の情報を収集しておくことが大切です。

立ち退いてもらうべき場合も

 
 これまでは、契約を維持しつつ地代を回収する方法をお話してきましたが、例えば1年以上の長期にわたって地代の滞納を続け、支払う見込みも全くない、というような悪質なケースも当然あります。
 そのような場合には、借地契約を解除し、借主に立ち退いてもらうことも選択肢の一つです(もちろん、立ち退かせた後であっても、滞納した地代の請求は可能です)。
 この場合は、借主の悪質な契約違反が原因ですから、解除すること自体は問題なく認められるでしょう(借地契約においては「信頼関係破壊の法理」という考え方があり、些細な契約違反では契約の解除ができない場合があります)。
 また、借地法または借地借家法には、借地関係が終了した場合に、借主が地主に建物の買い取りを請求できる権利が定められていますが(建物買取請求権)、裁判例では、借主の契約違反を原因とする契約解除の場合は、借主がこの権利を行使することはできないとされているのです。
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地代滞納問題のスペシャリスト    

                                   
                          司法書士法人 クローバー総合事務所     
                             細越 善斉先生     
 http://www.clover-legal.com/